生後すぐの可愛らしいヒヨコを飼ってからというもの、
毎日毎日餌作りに追われている。
掌に乗るほど小さなヒヨコの時期は、
朝から暗くなるまでピヨピヨと鳴いて四六時中餌を突っつ いていた。
その旺盛な食欲は二か月過ぎた幼鳥の今も同じで、
朝にたくさん餌を上げても、
私の姿を見た途端、窓に突進しキツツキのようにガラスを突っつき餌を要求する。
その姿を見たら餌を上げないではいられない。
一日に何度やっているだろうか。
餌は朝のうちにキャベツや大根の葉、白菜などを微塵切りにして、
大人用とヒヨコ用の飼料を混ぜ、米ぬかでカサを増す。
市販のヒヨコの飼は色んな栄養素が混合されているので、
そればかりでは人間のお米より値段が何倍も高い。
そこで私はスーパーで無料でもらえる新鮮なぬかを餌に混ぜている。
玄米の皮なのだから栄養満点に違いない。
鶏は野菜も好きだからそれも毎日欠かせない。
初めの内は小松菜など買っていたけれど、
あっという間に食べ尽くし家計を圧迫するので、
今はスーパーで週に1度ほどキャベツや白菜などの野菜くずをもらってきてい る。
どうせ生ごみになるのだから、
増え続けるゴミ問題に貢献していることになる。
それにそうして作った野菜入りの主食?以外に生きた虫が好きなので、
庭の菜園を飛び回る蝶々を子供のように虫網を持って追いかけている。
小さなシジミチョウがじゃれ合っているのを見ると、
いてもたってもいられなくなった。
もちろん土の中にいる虫も大好物で、
土を耕す際に出て来たふにゃりと丸まった白い幼虫も瓶に集める。
それらをおやつとして差し出すと我先にと獲物に飛んでくる。
早朝の餌作りと虫取りは庭仕事の新しいルーティンになった。
若い鶏たちはとにかく寝ている以外は食べまくっているので、
どんな胃をしているのだろうと驚くばかりだ。
先日はトカゲがいたから虫網で捕まえると、
狂乱状態のように奪い合った。
その姿を見ていると、人も動物も本来は土の上で暮らしてきたのだ。
鶏だってそうに決まっている。
この子たちは電気の力で孵化されたと思うが、
野生の遺伝子をしっかりと持ち続けているのだなと感心するばかりである。