今朝、郵便受けに何やら葉っぱのようなものが入っていた。
葉っぱは透明な小さいビニール袋に入っていて、
葉の表面に切手のようなものが貼ってあった。
近所の子供が私に何かメッセージを送ったのかと思ったけれど、
良く見ると大人の文字で、差出人の名前は遠くに住む友の名だった。
実際にそれはれっきとした120円の切手が貼られ消印まで押してあった。
文は4行ほどだが簡潔に書かれていて、
彼女らしい優しい心遣いが感じられた。
文字はまるで活字で押したようだ。
末尾にこの手紙の葉はタラヨウの葉と小さく書いてある。
葉っぱが郵便として成り立つなんて大変驚いた。
局での仕分け作業はベルトコンベアではないのか。
もし、手と手を使い配達していたとしたら、
この国の郵便局は何と素晴らしいのだろう。
そこで、ふと思い出したことがある。
前にある由緒あるお寺に行った時のことだ。
小さな子が私の手を引っ張り、
境内の裏庭にある大きな木のそばに連れて行った。
その時、葉っぱに色んな文字が刻んであったのだ。
あの木がこの「タラヨウ」の木だったのだ。
木の葉は傷つけると落葉してもそれが残る。
そういう性質を持っている葉である。
その時は何となく聞き流していたのだけれど、
葉っぱの手紙がこうして現実に自分に届くと、
まるで宮沢賢治の童話の世界に入ったようで、ひどく感激した。
調べてみるとタラヨウの木は、
戦国時代に武士が誰かに残すために葉に文字を書いたという。
それが [葉書] の語源でもあるという。
友達のおかげで良いことを知った。
この葉っぱの葉書はしばらく机に飾って置こうと思う。