散歩道に可憐なカタクリの蕾がぽつんと顔を出していた。
この花は大地に根付いてから8年ほど経たないと花が咲かないらしい。
小さな草なのにどうしたそんなに時間がかかるのだろうか。
この花は下を向いて淋しそうに咲くけれど、
群生を好むのでこの時期になると、
あちこちの名所はカタクリを愛でる人で賑わう。
斜面一面が赤紫に染まる様子は春の喜びを感じるし、
万人にとても人気がある。
誰もいない静かな斜面にかなりの数の葉が出ていた。
見つけた蕾はたった一つだけだったけれど、
おそらくあと一週間ほどで咲きそろうに違いない。
カタクリはユリ科なので、大昔にはその球根から片栗粉が作られていた。
こんな愛らしい花さえも掘って食用にしていた時代があったのだ。
美しいとかの情緒などより生きるための糧が第一だった。
昔の人の食べるための苦労は大変だったと思う。
近くにはそろそろ終わりかけのマンサクも見られる。
マンサクも春になると真っ先に咲く山野の木の花である。
高いところに咲くのでカタクリと違ってカメラに収まるのは難しい。
カタクリの葉を踏まないように注意して土の斜面を登る。
まさに春爛漫。
今年の春は何て早いのだろう。
梅林の梅の花は散り始め、時計の針が勢いよく回り、
桜の便りも来そうな勢いになっている。