旅先で銭湯に行ってきた。
そこは観光名所のはす前にあってかなり古くから続いている。
建物も昭和の感じがして今や近代化遺産になりそうだ。
暖簾をくぐると感じの良いおばさんが番台に座っていて、
「いらっしゃいませ」と明るく声かける。
番台は男湯と女湯、その両方を見ている。
昔はおじさんやその家族も交代で番台にいたが、
今ではそんなことはないだろう。
そもそも銭湯というものが町から消えつつあるのだ。
木製扉のロッカーに服を入れて浴場に入ると、
何だか懐かしい空気を感じた。
蛇口は赤と青のカランを押すと出てきて、
まるで映画の中に迷い込んだ気がする。
熱い湯に近所のおばあさんたちが浸かっていて、
時折話声がする。
備え付けのシャンプーや石鹼はないけれど、
とても贅沢な気がしてきた。
旅先でレトロなお風呂に遣っている。
それだけで素晴らしい体験だ。
自分の町では味わえない異次元体験、
たったの350円なりの料金。
時間が取れたらまた来てみよう。
骨董品の腕
下足入れは昔のままの下駄箱だった。