山からタクシーで駅へ降りたら、
太陽がさんさんと注ぎ、まだ一時過ぎととても早かった。
それもそはず山の中で寝て、朝のうちに下山開始したのだから、
時間が余るほどあったのだ。
私はすぐに電車に乗らず知らない町を歩いてみることにした。
もともと物見遊山の好きな私、町歩きにも興味がある。
それに駅前から特徴的な小山が見えている。
あそこを登ってから帰らなければ後悔するに決まっているのだ。
タクシーの運転手さんに近くの名所を尋ねたら、
ここが名刹だと駅からの道を新設に地図に書いてくれた。
私は駅前に見える山に行かないかと、
まだそばにいた仲間に一緒に来ないかと提案してみた。
すると、なぜか全員が私についてくることになり、
大きなリュックを担いだまま歩くことになった。
初めての町をそぞろ歩き、こんもりと立つ山に向かって歩いたのだった。
何人かの人に道を尋ね、ようやく由緒ありそうなお寺に着き、
教えられた通り、境内の中に入って行った。
境内は整備されて建物も素晴らしかったが、ゆっくりは見ていられない。
山へ向かう道はこれが簡単そうでとても分かりづらかった。
小山には左右にふもとをたどる道があり、
なかなか山に登って行かないのだった。
町の人はここは公園みたいなものと言っていたが、
初めての通りすがりのものにとっては分かりにくかった。
四時台の電車には乗りたかったから焦っていたせいか、
一度戻ったりした。
仕方なく二手に分かれて登山口を探し、上で落ち合うことにする。
東西の登山口からは階段が続いて20分ほど上がると、
町全体が眼下に広がり、この山が町のシンボルだということがよく理解できた。
こんな小さな山なのに東屋が幾つもあった。
山頂には4等三角点もあり、何だか得をした気になった。
この山を初登頂?したおかげで、
私にとってはリッチすぎる今回のタクシー山行のコスパが、
上がったようで嬉しい。
とても上がったようで