車のエンジンをかけ出かけようとしたら、
目の前の道路の真ん中を大きなカメが歩いていた。
そのまま避けて通っても良かったけれど、
このままでは車に轢かれてしまう。
そこで、車を止めてカメを助けることにした。
そのカメは体長30センチほどもあり、甲羅を掴むのが恐かった。
急いで家に戻り大きなたらいに避難させ、
用事があったのでそのまま夕方まで浴室に置くことにした。
出先でカメをどうしたらよいものか考えていた。
乾ききった灼熱のアスファルト車道をヨチヨチ歩くカメ。
どこかの家で飼っていたものだろうか。
それとも、野生のカメなのか。
ここから水辺公園までは2キロはある。
公園には時折産卵のためにカメが陸地に上がって来る。
そんな姿を見たことがあっても、ここまでやって来るとは考えにくい。
ご近所を一軒一軒訪ねて回るのも良いけれど、
自宅に戻るのは夜になるし、朝を待っても皆忙しいに決まっている。
また朝までカメを置いておくなど考えられない。
そこで、たらいごとカメを車に乗せ、水辺公園に向かった。
そこに放せば車に轢かれることもないだろう。
カメは模様から見てミドリガメの成長したものではないようだ。
海外産のミドリガメはワガメを駆逐する勢いで増え、
自然に戻すことは違法である。
緑の中に放たれたカメはじっとして、
土の感触を味わっているようだった。
カメにも命があるのだ。
さて、そのうち竜宮城の入場券を持って来るかもしれないが、
それは受け取らないつもりだ。