もやっとした春霞の中のあちこちに、
白やピンクの桜がぼうっと浮かぶ広いバイパスを走っていた。
しばらく運転していると何となく景色に違和感が生じた。
段々と身体が浮くような感じがして、その不安で動機も始まった。
後部座席には子供を二人乗せていた。
視界が波打ってきてこのままでは危険だった。
とはいえ、下道のようにすぐには停車できない。
4車線のバイパスはどの車も90キロ近くで飛ばしている。
私は必死になってハンドルを掴んだ。
どうにか転換地点まで来て県道に入った。
ここには大きな公園のある行政センターがある。
しばらくコロナで利用禁止していたけれど、
先日から今までのように自由に入ることができる。
車の扉を閉め這うようにしてセンターの自動ドアの前に立った。
トイレに座るとうまく立てず、認めたくないけれど目が回っていた。
係の人に助けられソファに横にならせてもらった。
車には漫画を読んでいる子供がいる。
ソファからその姿を確認できる。
とはいえ、心配なので友人に来てもらうことにした。
本当は友人宅に行く予定だったのだ。
大分近くまでやって来た。
10分もしないうちに友人が駆けつけて来た。
私は車内で横にならせてもらいふらふらが収まるのを待つ。
まだまだ突発性難聴の後遺症が続いているのだ。
無理はしないでおこう。
それにしても自由に使うことのできる公共施設はとても有難い。
住民サービスを利用できる私たちは本当に幸せだと思う。