どうやら救急車騒ぎは脳溢血とか怖いものではなく、
耳の三半規管の異常からきたもののようだ。
隊員はどこの病院へ行きたいかと聞いてきたけれど、
こちらは素人だから分からない。
結局、搬送されずにその日は静かに寝ていた。
でも、耳鳴りや眩暈のことをネットで調べていると、
突発性難聴という病名が数多くヒットした。
どうやらこれは原因不明の病で結構患者が多いようだ。
芸能人なども悩まされているとか。
殆ど治らないけれど、最良の対処としては、
すぐに専門病院で血流を開く処置をすれば希望があるらしい。
エビデンスは証明されていないけれど、
3日以内なら4割ほどの人の聴力が回復しているらしい。
ただあとの6割は難聴が固定化してしまう。
私もそうなのだろうか。
突発性難聴の症状を隊員は知らなかったのだろうか?
「耳鼻科に行けば」というアドバイスはされなかった。
今日で満三日のリミットなので、町の耳鼻科に行って調べてみよう。
久し振りのクリニックは狭い駐車場が入れないほどの込みようだった。
花粉症の最中とあってそれらの患者が大半だけど、
老若男女、コロナも気にせず密に座っている。
1時間以上も待った後、ようやく診察室に入った。
ドクターはお腹の出た気さくな人でとても話しやすい。
事情を説明した後に電話ボックスのような部屋に入り、
大きなヘッドフォンをかけ、15分ほど左右の耳の検査を受けた。
検査方法は耳の向こうから音がし始めるとボタンを押す。
音は遠くから聞こえ、完全に押すことができたか不安だった。
初めてだから間違ったかもしれない。
検査が終わるとすぐにプリントされたグラフが出てきて、
医者は「突発性難聴かもしれないね」と言った。
説明によると治療方法はないそうで、
とりあえずステロイドの強い薬2錠を4日間飲んでみるように言われた。
他に神経を開く薬、血液さらさら薬、あと一種。
日本全国この方法しかないという。
ネットで調べた通りの対応だった。
救急隊を呼んだ時の眩暈は軽度のものと思われる。
もっとひどいと天井がクルクル回って吐き気がするらしい。
それは良かったと安堵した。
医者嫌いの私だったけれど、
説明を聞いていると何だかホッとしてきたのだった。
とりあえずダメもとで薬を飲んでみようと思っている。