鼻水が出て止まらない。
週初めから全く止まる様子もなく、黙っていてもダラダラと流れ落ちる。
初めはティッシュやトイレットペーパーで拭いていたけれど、
とても間に合わなくなった。
それで今では一時間に一枚ほど大きな布を使っている。
絶え間なく流れ落ちるため外出もずっと控えている始末だ。
鼻水が出るのはきっと身体的には理由があるのだろう。
熱や咳が出るのに理由があるのと同じだ。
それにしても、その理由は何か?
かなり以前だけれど、私はしつこい花粉症に悩まされていた。
主な症状は咳と涙がのべつ幕無く出て、
できるなら眼球を取り出して水で洗いたかったほどだ。
耳鼻科に通い、応急的に注射を打ってもらい、
錠剤を服用して凌ぐしかなかった。
医者嫌いの私が医者通いしていたのである。
そんな時期が数年続いた後、山の方へ引っ越すことになった。
そこには杉林がたくさんあって、
この時期になると山火事の煙のように花粉が風に舞っていた。
恐ろしい光景だった。
ところが、不思議なことに、
引っ越した途端に嘘のように症状がなくなり、
その後、すっかり春の悩みは消えてしまった。
そのことがあって自信を持った私は、
この確固たる事実を積極的に人に話したのだけれど、
誰も聞く耳を持たなかった。
先日、何かの記事を見た時、
薬には毒を持って毒を制すというものもあるらしい。
花粉症の薬剤には杉の成分も微量含まれているようだ。
今、また杉のない郊外に引っ越してしまい、
花粉は遠いところから空を舞って飛んでくる。
きっとその間に空気中の様々な物質と化合して、
複合的に変化しているのかもしれない。
山の中に立つ杉の純粋な花粉ではなくなっているのか。
週間花粉情報など縁がないと思っていたのに、
時間が逆戻りしたようだ。
(写真 2月末の薄雪の杉林)