何年も庭に雨晒しにしていた自転車。
前カゴもハンドルも汚く錆び付いている。
健康のためにたまには乗ろうと思い、お店で空気入れを買ってきた。
自転車はこれまで何度か買ったけれど、滅多に乗ることがなく、
そのため乗ろうとするとたいがい使い物にならない。
空気入れも買ってはどこかにいき、
乗るたびに買っているような気がする。
汚れたサドルを雑巾で拭き道路まで動かして、タイヤに空気を入れてみた。
踏んでも踏んでもなかなかパンパンに固くならない。
悪戦苦闘しているとお隣さんがいたので、声をかけた。
すると、彼は庭仕事の手を止めて走り寄ってきてくれた。
メカに強いその人が言うには、
タイヤの空気入れ口を回すと中にゴムの芯のようなものが入っていて、
それが摩耗するとタイヤがパンクしていなくても空気が抜けるということだ。
そして、実際にその小さなゴムの芯を取り出して点検してくれたけれど、
まだ古くはなっていないという。
そこで、ただ単に空気が足りないのではということになって、
入れ直してくれた。
その人の足踏みの力と私のそれとでは比較にならず、
タイヤは両輪ともパンパンになった。
「ありがとう、これで水辺公園まで行ってきます」と礼を言い、
ペダルを踏んだ。
スイスイと走る自転車、少し重くなったら右手のギアを回すことを思い出した。
力のない私は1から3のうちほとんど軽くなる1ばかりだった。
すっかり変速のことも忘れていて苦笑いした。
さて、夕方になったらこの自転車はひとりでにライトもつくはずだ。
水辺公園の森で松ぼっくりでも集めて来よう。
でも、機械は使わないと壊れてしまうから、
果たしてライトのセンサーはまともに作動するだろうか。
そんなことを思いながら松ぼっくりを拾い、
いつもは歩いて回るコースを自転車で走る。
さすがに、歩くよりも速いので日はまだ落ちなくて、
残念ながらライトのセンサーは試せなかった。