散歩途中にあった水田が一つ一つなくなっていって、
無味乾燥なガラスの並ぶ太陽光発電地が増えている。
今までよく飛んできたアオサギも最近は姿を見かけなくなった。
太陽光にならなかった国道沿いの一角に、
いつの間にか新しいアパートが建っていた。
ちようどその前を通った時、敷地内の砂利の上に動くものがあった。
それはニョロニョロと地を這う長い蛇で、多分アオダイショウだろうか。
大人の蛇みたいで体長2メートルはあるようだ。
蛇はコンクリート地のアパートの玄関まで這い上るとそこで行き詰まり、
どうしたものかと舌をピョロピョロと出して蠢いていた。
その部屋の南側の窓は開いていたので、どうやら住人は在宅らしかった。
私はスマフォを取り出し、何枚か写真や動画を撮った。
そして、スマフォを構えながら、
今ここで中の住人が出てきたらどうなるだろうかと、考えた。
それは悲劇に違いない。
ドアを開けたら蛇にぶつかるだろうし、
運よく隙間を通ったらいきなり蛇をまたぐか踏むことになる。
想像するだけで身の毛がよだった。
でも、その現場を見たいなあとも意地悪く思った。
私だったらきっと叫び声を上げて卒倒するかもしれない。
それほど蛇は人間に嫌われている。
でも、まわりが太陽光畑になって、雑草防ぎの黒いマットで覆われてしまい、
彼らだって安住の行き先を探しているのだ。
いつまで観察していても住人は出てこなかったので、
蛇が生きていける環境とは人間にとっても良い環境なのだと思いながら、
そのままにして散歩を急いだ。