スーパーで面白いトマトを見つけた。
6個ほどの赤いトマトがブドウのように房についたままで売っているのだ。
船型の可愛らしい紙容器に入り、透明ポリに被せられ、
まるで果物のような扱いでワゴンに乗せられていた。
その全てが真っ赤に熟し、同じような形で切られている。
これは、トマト工場で作られたものに違いない。
案の定、説明書きを見ると、某有名なケチャップ会社の製品?だった。
それにしても、植物がモノのように工場で生産されるとは。
私が今浦島だったのか、どうやらかなり出回っているらしかった。
ネットで調べてみたら、巨大温室のような生産現場には、
背の高さ以上のトマトの木が整然と並んでいる。
人は白い技師の服を着て見回っている。
これほど同じ大きさのトマトを収穫するのは、
天気や場所に左右される外の畑ではできないと思う。
コンピュータで管理しているからこその製品である。
試しに味はどうかと買ってみたけれど、市販のトマトと似たような味だった。
最も市販のトマトはほとんどが屋根のある温室で育てられている。
値段は大規模生産工場の方が安かった。
管理に人手の費用がかからないし、運搬コストも抑えられるからだろう。
去年から育てていた幼苗を庭に移して2か月、
トマトはようやく赤い実をつけている。
大小不揃いのトマトが少しずつ色づいていく。
これこそ露地物の本当のトマトだ。
その貴重な初物をかじると、ずっしりとした本当の旨味が口に広がり、
野菜というものの持つ力がみなぎっているようだ。