今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

晴れがましい友の表情

今日は野外遊び仲間と一緒にとある里山に行ってきた。

里山と言っても、遠目からはただの緑の山だけれど、

そこは山全体が岩でできていて、

しょっぱなから四本足で這いずり上がらなければならない。

言ってみれば、大きなアスレチックランドのようなところである。

 

仲間の中にはバランスの悪い人もいて、

そんな人が岩壁をよじ登ったりする時には、

誰かが支えて上げなければならなかった。

 

彼女を後続で支える友は、

靴や膝などに彼女の靴を踏まさせながら、一生懸命にフォローした。

それを見守る私たちは強い仲間意識に支えられている。

 

そして、多分、倍の時間はかかって山頂岩に着いた。

そこまでの道は立ちはだかる大岩があったり、

鉄梯子があったり、町を見下ろすパノラマ見晴らしのベンチがあったり、

ギリギリの幅の岩のトンネルがあったりして、

みんな感嘆の声を上げながらとても喜んでいた。

 

梅雨の雲はこれまでと違い、朝から嘘のように晴れ上がっていた。

山頂岩のランチタイムは子供の遠足そのもの。

広い空の下ではもうマスクは不要だ。

 

食べ終わると、この里山のクライマックスに向かった。

帰りは垂直の一枚岩を50メートル以上鎖を頼りに下りなければならない。

殆どのハイカーは逃げ道(エスケープルート)を回って下り、

ここは見物のみである。

もちろん腕力に自信のない私もそこは下らない。

 

さて、仲間のうち誰がここを下るのか。

ひそかに楽しみにしていた私。

見物客の見守る中で、高所の好きな仲間がいきなり降り始めた。

彼女はこういうところが大好きなのだから予想通りの行動だった。

 

でも、この数年、病に悩まされていた仲間のひとりが、

じっと崖下を覗き込み、しばらく逡巡した末、

「私、下りるわ。面白そう」と言って準備にかかった。

 

彼女は突然免疫の病にかかりしばらく弱っていた。

医者にはこうした過激な野外遊びは禁じられている。

今は症状のない寛解期が続いているのだ。

そんな彼女が果敢にもこんな危険な崖に挑むなんて。

 

エスケープルートの長い回り道を歩いている間、

血に染まる岩を想像して私はとても心配だった。

でも、案ずることなく、二人は私たちを待っていた。

「待ちくたびれたわ」と、二人が言う。

その表情の何と晴れやかなこと!

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今回の遊び場所は私が好きなこのアスレチックランドを紹介した。

少し不安もあったけれど、何より天気が晴れだったのが良かった。

雨だったらあの崖は下りられず、

何かふっ切れたような彼女の表情も見ることができなかったのだ。