冷蔵庫に鶏の手羽肉を残しておいたのをすっかり忘れていた。
いつだったかははっきりしないけれど、
多分2週間ほどは経っていると思う。
鼻に近づけて匂いを嗅いでみたら腐った匂いがして、
表面を触ってみたら何とネバネバとしている。
この手羽肉は柚子塩を塗り、発酵させた柚子果汁に漬けておいたものだ。
さあ、どうしよう、食べようか、捨てようか。
以前だったらちょっと匂いがしただけで捨ててしまったけれど、
最近は特に肉類に関しては多少おかしくなっても平気になった。
でも、これはイキ過ぎているではないか、と思いつつも、
捨てるのは罪悪な気がするし、勿体なくもある。
それに手羽1枚とて大事な命には違いない。
スーパーでは食品ロスを少なくするため、
牛乳などの日産品も古い日付から買っている私だ。
思い切って調理してみよう。
そこで、一口大に切ったお肉を薄力粉でまぶし、
オリーブオイルで焦げ目がつくまで焼いてみた。
仕上げにレモンをかけて匂いをごまかす。
おそるおそる小さなひとかけらを口に入れると、何とも美味だった。
今までのものより格段に魅力的な味だ。
お肉は腐りかけが美味しいとよく言われるけれど、
これは腐るというより熟成されたのかもしれない。
お皿に並べ、「いただきます」と手を合わせ、完食した。
それから1日が経ったけれど、お腹の調子に変化はない。
人って案外強いんだなあと感心している。