カミュの『ペスト』が机の上に放置されている。
新潮世界文学のカミュ1の分厚い本である。
コロナ禍の絶望の中に始めた朗読だった。
栞を着けた頁を開くと、あと50ページというところまで来ている。
ボイスレコーダーの記録は今月某日で止まっていて、
最近は週に一度ぐらいしか読んでいないことが分かる。
たった一回5,6分程度なのに、要するに朗読をさぼっている。
デジタル機器は録音した日付もしっかり記録され、
画面をなぞると過去が機械的に走りだすようだ。
長すぎた梅雨も暑すぎた夏も、
そして、やってきた秋もただの数字に過ぎない。
この朗読が誰かの役に立つというわけでもないので、
自分で決めた読了の日も適当だ。
希望としては最初はお盆に終わりたかった。
5月に朗読を開始し、
コロナの終息と『ペスト』読了が重なることを祈願?
いや、心から期待していた。
残念ながらコロナは再び世界に猛威を放っている。
そのせいもあって日々のルーチンに決めたのに一向に捗らなかった。
本を久しぶりに手にしたら、小説の舞台は11月の末にきていた。
残すのはあと50頁だから、
もしかしたら真冬にはペストの流行が終息するかもしれない。
コロナの終息は期待できないので目的を見失った感じがする。
早く読み終えようか。
それとものんびりとやるか悩むところだ。