灼熱地獄の続く中、たとえぱ何かの急な病で室内でバッタリ倒れたとしたら、
新聞にこんなふうに書かれるかもしれない。
「クーラーのない室内での熱中症、また」と。
最近のニュースはクーラーがなかったり、
クーラーをつけてなかったりすると、まるで悪いことでもしたように、
熱中症の原因をそのせいにしている。
しかも、そうしたニュースをこれでもかとばかりに繰り返している。
これではまるで脅迫ではないか。
確かに今年の夏は暑かった。
外の熱を遮断し雨戸を閉めても部屋の温度は34度まで上がり、
室温の最高記録を出した。
私はクーラーのツンとした冷気が嫌いだし、
地球温暖化阻止のためにも、
外に熱を排出するクーラーを入れていなかった。
車でもクーラーのスイッチを入れず窓を開けて走っている。
同居人の連れ合い氏は暑さに弱い人だが、
家にいる時間が少ないので我慢してもらっていた。
ところが、コロナ禍のせいで在宅が増え、まず彼が音を上げた。
「クーラーをつけよう!」と。
早速、大型電気店に行き、安いも高いも分からず、
店員さんの勧めるままに契約した。
店員さんが確認し忘れたのか、
我が家のクーラーのコンセントは200ボルト用なのに、
買ったものは100ボルトだったので、その変換に余計なお金がかかった。
それが5日ほど前のことで、本日、壁に穴が開けられ設置された。
私は敗北感に襲われ、とても複雑な気持ちだ。
ちょうどディズニーランドに行った時の気持ち。
あの時も私の希少な記録みたいなものが、ガラガラと崩れてしまったのだ。
記録とは ①生涯ディズニーランドに行ったことがないこと
②生涯家にクーラーをつけないこと
滅多にいないでしょう、こんな人! と、ある意味誇りを持っていた。
それが偏屈者のステイタスだったのに、涙。
さんざん暑さを我慢した末、ついにやってきたクーラー。
ところが、この日から涼しい秋風が吹くようになった。
夜は寒くて窓を閉めるほどだった。
おかげで試運転を1時間やっただけでクーラーは止まったままだ。
当分、壁飾りになる感じがするが、その方が良いに決まっている。