今日は人生初めての日だったなんて

好奇心がある限り心を文字で表すことは大切です。日記を書きます。

『百万回の永訣』を思い出した

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先日、いつもの趣味の会の練習会場に行くと、まだ誰も来ていなかった。

開始時間になって会場作りの準備をしていると、

仲良しの仲間とあとひとり、二人がやってきたのでほっとした。

 

どうやら他の皆さんはお休みだということだ。

私も友人も事前にメールを開かなかったので能天気に来たのだけれど、

もうひとりの仲間は皆の休みをちゃんと知っていたのに、

私たちのような者がいるため休まず来てくれたみたいだ。

もちろん会場は抑えてあるからひとりででも使用可能なのだけれど。

 

たった三人だからちゃんとした練習はできなかったが、

ひとりの仲間はほとんどプロの腕なので、

普段はしない基本的なアドバイスなどを細かくしてくれて、

涼しいクーラーの下で有難いレッスンとなった。

 

こんなに少ないメンバーで集まるのは滅多にない。

だから、個人的なお喋りの時間も多く取れ、

この趣味の会以外にもいろいろな話をした。

 

プロ級の彼が、実はステージ4の癌を患っていることを聞いた。

何となく噂には流れていたけれど、直接尋ねるのは憚(はばか)れて、

本人の口から聞いたのは初めてのことだった。

 

彼が言うには10年前に定期健診で発見され、

抗がん剤や手術などはしておらず、そのまま今に至っているというから凄い。

定期的に野山も散歩しているというから驚きだった。

 

そこで、私は以前NHKテレビで見たルポライター柳原和子の、

癌再発記録『百万回の永訣』という番組を思い出した。

彼女は余命幾ばくもないと診断されながら、ありとあらゆる治療を受け、

その患者と医師たちの一部始終を映像で記録しておいてとカメラマンに依願した。

番組は凄絶な闘病記録で、涙なしには見られなかった記憶がある。

 

その柳原和子氏がその後どうなったか気にはなっていたのだけれど、

番組報道の1年後頃だったか、東京新聞の死亡欄に

柳原和子さん 57 『がん患者などの作家』と9文字だけ記され、

とても衝撃を受けたことがある。

 

 

朝日新聞には写真付きで報道されていたようだ。

この新聞の切り抜きは今でもDVDに張り付けてある。

どうやらその後2年半頑張ったらしい。

 

彼女の死を知った時、あれほど苦しんだのに生き続けられなかったとかと悔しかった。

ならば番組中登場する近藤誠医師の言うように、

苦しい治療は何もせず、QOLを保ち、

一日でも多く生きたら良かったのにと、素人の私は強く思う。

 

私の仲間がその番組を見たかどうかは分からない。

当時、録画していたDVDが家の本棚にあるけれど、

これを彼に見せるわけにはいかないだろう。

 

癌という病は人によって相当異なるようだ。

仲間の彼はあと余命2年などと言っていたけれど、

人間の生存能力は計り知れないものがある。

癌を忘れて今のように元気でいてほしいものだ。

 

(写真 2008年の柳沢和子氏の記事が貼られた2007年のDVD)