外はすっぽりと町全体が霞がかって、いまだ梅雨空が続いている。
昨夜は屋根をたたきつける激しい雨音で目が覚めた。
そんな夜が何日か続いている。
いつになったら梅雨が明けるのだろうか。
恨めしく外を眺めていたら、突然、緑の中を歩きたくなった。
そうだ、リトルヒルに行こう、お昼は着いてからそこで食べよう。
もう2か月以上行っていないではないか。
午前の家事も大体済んだし、
今日は土用の『丑の日』だから、
スーパーに寄って出来合いのうな重を買えば夕食の準備もいらない。
私はウナギは好きではないけれど、夫の大好物なのだ。
安い中国産ではなくて、安心な三河のウナギを買おう。
そう決めると急いで車中飯の用意をする。
もちろんこんな場合はインスタントラーメンと決まっている。
具にネギを刻み、ウインナーを持っていく。
車を30分ほど走らせると、リトルヒルの駐車場に着いた。
エンジンを切ると同時にお昼のチャイムが鳴り響き、ランチタイムとなる。
車内では暑いので、外に立って車内でラーメンを作り、
珍しく人のいない駐車場でフーフー言いながら熱過ぎるラーメンをすすった。
家のテーブルでインスタントラーメンなど食べたくもないのに、
なぜかこんな格好で食べるとおいしく感じられる。
それは、きっと日常性を抜けた空間だからなのだと思う。
ぼっちご飯でも楽しいのだから。
ここはウォーキング帰りの人が汗びっしょりのシャツを着替えたり、
お弁当を食べたりして長居するので、人の目は気にならない。
都会ではできない贅沢な行為かもしれない。
ヒルの道は昨夜の雨でぬかるんでいたけれど、
水辺公園のアスファルトに覆われた平坦地と比べると、
足底に当たる岩の感触や負荷を要する小さなアップダウンが、
運動不足の身に刺激を与えてくれる。
夏の端境期で花はなかったけれど、
秋の花であるピンクのハギが2輪ほど開いていた。
梅雨とはいえ9月はもうじきにやってくると思うとドキッとした。
今日の歩きは2時間を越えいつものよりも時間がかかった。
体力が落ちているのだろう。
でも、少しでも自然の中で過ごせたことで心が満たされた。
つくづく私にとって自然がいかに大切かが身に染みる。
さて、身体を清水で拭いたら、帰りにうな重を一つだけ買って帰ろう。