草刈りをしていたら腕の上の方が、
チクリと何だか痛痒くなった。
「蚊に刺されたのかな」と軽く思ったけれど、
長いこと妙に痛くて何だかおかしい。
我慢できなくなって上着を脱いで皮膚を見ると、
プチプチと赤い湿疹が関節の周りに大きく広がっていた。
この発疹の様子は、おそらくチャドクガの仕業だ。
チャドクガは触れなくても皮膚についたら炎症を起こす。
虫に触れなくてもその毒の毛?がどこからか飛んできて、
薄い上着の中に入ってきて毒をばらまいたのだ。
赤い発疹は右手首にも出ていて、どちらも痒くてたまらない。
今年になって草刈りをしているとよく毒虫にやられる。
もともと草に弱い私だけれど、
最近は無残なほど徹底的にやられる気がする。
草刈り作業は山のそばの家のことで、
作業自体はいつもと変わらず、思い当たる節はないけれど、
あえていえば、
あまり触れたことのない植物に触ったことぐらいだ。
それと、油断して完全防御スタイルを怠って、
普段着で作業をしてしまったこともある。
思えば人間はこうした自然と共生して生きてきた。
食べるために森や海に入れば、
多くの細菌大の菌や大小の害虫や害獣がいたのだった。
文明はそんな敵対する存在を少しずつ駆逐して、
住みやすい環境を作ってきた。
住みやすい環境とは人工的な環境である。
今やはるか下に地上を見下ろす高層の部屋でも、
より便利に暮らしができる。
人工的とは、思えば『不自然』ということに他ならない。
ヒトよりも遥かに小さな自然な?存在に攻撃され、
無残に広がった赤い発疹を見ていると、
新型ウイルスもこうしたヒトの『自然からの離脱』へのしっべ返しの一つのような気がして、
マクロではもしや収支決算があっているのではないかと、
思ったりした。
だから、この痒さに耐えなければと苦笑いするだけだ。