今秋から町の図書館がやっと利用できるようになったので、
2月初めから借りて延滞していた本を返しに行った。
4か月も借りっぱなしだったけれど、
異常事態だったから係の方もニッコリ笑って受け取ってくれた。
何かしら懐かしい笑顔だ。
カウンターには透明アクリル板が下がり、
入り口にはアルコール消毒の容器が置いてある。
以前から消毒容器はあったけれど、
一度も使ったことがなかった。
でも、今回は指の付け根まで丁寧に消毒した。
中に入ると座席は空いていて、
若い女性がひとりだけ読書していた。
いつも本を読んで寝ている常連の数人もいなかった。
ボランティア室には傷んだ本を修理している女性がいた。
彼女は週に一度は来ている人で、その黙々と作業する姿勢にいつも心動かされ、たまに少しおしゃべりもする。
でも、今日はお互い生身の人との会話が久しぶりだったせいか、
つい長く話してしまった。
彼女は今回の自粛はかなり精神的にきつかったそうだ。
特に、
近くの公園にロープが張ってあったのをひどく憤慨していた。
「あんな誰もいないところまで進入禁止にするなんて…」と。
オンライン何とかとか、リモート何とかとか、
全く縁のない人なので、その腹立ちがよく伝わってきた。
私は彼女と別れると、少しだけ書架整理のお手伝いをすることにした。