ご近所には遊び盛りの子供たちがいて、
成長とともに遊び声は減ってはいっても、
それなりに賑やかな時もある。
特に帰宅後の夕方は子供たちの遊び声が住宅街に響く。
今日は長引く政府の外出自粛要請もあり、
家の周りは格段にひっそりとしている。
車の出入りもほとんどないし、
表通りから聞こえてくるエンジン音もない。
子供たちは家の中で何をして過ごしているのだろう。
ネットで勉強でもしているのだろうか。
それとも、ぼぅっとしているのだろうか。
遊びが本業の子供たちだけれど、彼らにとって一日は長い。
さて、私は外へ出たいという気持ちが抑えられなくなって、
夕方近くなってから車に乗って30キロほどドライブしてきた。
頭の中では「Stay home!」という英首相の言葉が何度も響いたが、このまま家にいるのは苦痛だった。
思えば子供と違って、
私たち大人は遊び作りが苦手ときている。
どこかに出かけることが、
一番手っ取り早い気分転換になるのである。
特に私はそうだ。
風に散る桜並木を一周し、車窓から行く春を眺める。
関東平野を見下ろすドライブウェーにある並木の桜は、
私が5年通い続けている桜の名所である。
花は終わっていたけれど、
それなりに見ごたえがあり、峠には名物の茶屋が開いていた。
そこには、団子を頬張る若い人がいて何となくホッとする。
いつもなら並んだ花見台には多くの客がいるけれど、
今日は閑散としている。
ただそれだけのことだったが、
帰宅後の気分は何かしら晴れていて、
夕餉の支度も面倒に思わない自分がいた。
やはり、外へ出ることは健康に良い。
安心して外で遊ぶことのできる当たり前の暮らしが、
子供たちに戻ってほしいと切に願うばかりだ。