ありあわせの野菜を炒めておかずの一品にする時、
最近は必ずのように隠し味に酵母液を加えている。
野菜炒めといえば味付けは塩・胡椒が定番だけれど、
酵母液を入れると味に深みが増すから嬉しい。
発酵が終わった酸味のある液が料理をプロっぽく演出してくれる。
野菜は千切りの白菜やキャベツ、
ブロッコリーの芯などの残り物でじゅうぶんで、
わざわざ新しいものを揃えなくてもいい。
味が深いのでお肉もいらないからエコなおかずになる。
酵母液の原材料は季節の果物で、
冬ならば柚子や夏ミカンなどでおいしくできる。
私の場合、果物の中身半分とむいた皮を瓶に入れ、
砂糖を入れて一週間ぐらい放置して酵母液を作っている。
そういえば隠し味に加えている魚醤と言われるナンプラーやヌクナムなども、
イワシなどの青魚の発酵液なので、それも必ず加えている。
魚醤は魚の塩漬け発酵だから料理に塩は加えない。
砂糖が媒介する果物と塩漬け魚のコラボレーションで、
安物の炒めものはより一層美味しくなる。
思えば日本の食事には発酵食品が多くある。
味の基本となる味噌・醤油がそもそも発酵食品だし、
ほとんどの日本人が毎日のようにそれらを口にしている。
パンを自分で作った自然な酵母で焼くために始めた季節の酵母は、
パン以外にもこうして調理の隠し味になり、とても有難い。
そんなわけでわが家のキッチンには、
いつも季節の酵母液の入った瓶が絶えることがない。