体調が戻ったので、
昨夜ひとりで山の家から帰宅したけれど、
どうも今度は眼の縁や耳が痒くてならない。
胃腸炎の後遺症にこんな皮膚病があるのかと、
不安な気持ちのまま寝たけれど、
朝起きて鏡の前でビックリ仰天した。
何と片目が赤く腫れて開くのもやっとで、
瞼の隙間に瞳が見え隠れしている。
爬虫類には申し訳ないけれど、見た目はそれ。
更に驚いたのは、鏡に映る顔全体の何かがいつもと違った。
よく見ると、左の耳が片方の倍ほどの大きさになって、
無様に垂れているのだった。
一晩で耳たぶが成長するなんてあるのかと「耳」を疑った。
そして、なぜかエリマキトカゲを思い出しゾッとした。
もはやこれは私ではない。
鏡の中の自分は恐ろしく奇怪な爬虫類顔になっていた。
カフカの『変身』はゴキブリだったっけなどと、
のんきに考える余裕などなくただ怖い。
今日は久しぶりに仲間と会うので、どうにかごまかさなくては。
そう思い、イスラムの人のようにベールを被ってみたけれど、
目を出さなければならないから却下した。
眼帯は耳にゴムを引っかけるので無理だった。
異常に大きくなった耳をこれ以上刺激したくない。
ただでさえ痒くてたまらないのだから、
今も増殖しているのかもしれない。
目の腫れは蚊に咬まれたりしてよくあることだから、
仕方ないとしてもダンボの耳は衝撃的だ。
指で触れるとかつてない存在感で心を震撼させた。
目と耳は隠しようがないので、
とにかくありのままで行くしかない。
みんな私の顔を見てどんなリアクションをするだろうか。