天気がぱっとしなかったけれど運動も兼ねて、
ボランティアに行くために今年初の自転車に乗った。
雲は薄いし、予報では夜から雨。
今は午後一時だ。
帰りに買い物をしても帰宅するまでは大丈夫だろう。
自転車はもともと苦手だから、
強く漕いでもペダルが重く、私にとっては結構な運動量だ。
この運動こそ生活習慣病のある私の毎日には必須なものだ。
無理してでも運動はしなければならない。
道が少し坂になると車輪が止まるので歩いて済ますか、
三つあるギアを一番軽くしてペダルを漕ぐ。
実は自転車にギアがあることを長いこと知らなかった私は、
数年前、このギアチェンジの使い方を知った時はとても驚いた。
さて、町の様子はというと、
裏道を通っても自転車で移動している人は見かけない。
いつものことだけれど、自転車どころか住宅沿いの道には人の姿さえない。
時たま、音のないハイブリッド車が背後から追い越して行く。
平日の町の静けさ、いや、お休みの日でさえ人の姿がない。
車の行き交う大通りの押しボタン信号を押すのにも申し訳ない気がする。
横断するのはたったひとりなのに待たせる車は何十台となる。
いつも車に乗っているので、こうして道を通ると町の様子が体感できる。
車内にいるのと次元が異なる。
それが、今の日本の地方都市の現実だ。
そんなことを考えながら目的の場所に着いた。
念のために屋根のある駐輪場に自転車を置いて、
汗をかいた服のまま今年初のボランティアに励んだ。
図書館では正月休みに借りた本が一気に返されていた。
それを元の場所に戻す作業で係員が奮戦している。
私も五冊ほど返した。
私はほんの少しの時間そのお手伝いしている。
本を持って行ったり来たり、上ったり下りたりするから、
一時間でも結構な運動量になる。
係の人からも喜ばれ、興味ある本にも出会えるし、
図書館でのボランティアは一石二鳥だ。
何より月に二度は必ず本を借りる習慣ができたのが嬉しい。
飽きてきたらお手伝いを適当に切り上げ私服に戻り、
お目当ての雑誌の最新号を余すところなく読む。
以前は時々購入していた本だ。
そんなふうにいつものように雑誌を読み終え、
出口に向かった。
すると、入口のガラス窓の先には舗道が黒々と光り、
大粒の雨が落ちている。
汗をかいた下着が身体を冷やし始めていた。
早く家に帰りたい。
タクシーを呼ぼうと思ったけれど、
念のため夫に電話してみたら何と近くのディーラーにいた。
定期点検を夕方に予約していたらしい。
しばらく待って帰りは拾ってもらい、
自転車はそのままにしておいた。