築地で買い物を済ませた後、六本木駅に下りてみた。
この日はメトロフリー切符をふんだんに利用して、
夜遅くまで東京見物と決め込んでいたから、
目的もなく下車する町を欲張ったのだった。
二人ともぶら下げた袋の中には場外で買った豆や数の子、
削り節などが入っていてずっしりと重い。
六本木はそんな所帯じみた私達にとってふらつく場所ではなく、
高級ブランドのショーウインドウを眺めてもつまらなかった。
何もかにも桁が違うのだ。
一体誰が買うのだろうかといつもの疑問が頭をかすめる。
そこで、超近代的なヒルズの隙間に公園が見えたので歩くことにした。
公園は実は地上にあるのに、
ヒルズ側から行くと地下2階となってビルの造りが複雑だ。
街全体が平地ではないのである。
巨大なビルに囲まれた小さな緑地には、
紅葉がちようど見ごろに色づいていて池もあった。
暖かかったから蚊がまだ飛んでいた。
古くは毛利氏の庭園だったようで、
回りを歩いても数分とかからない。
これが都会の自然というものか。
そこで、また地下鉄に乗って今度は恵比寿に行くことにした。
上野、築地、六本木、恵比寿と四度目のメトロ乗車。
ここには私も友人も10数年訪れていない。
歩く歩道を二つ抜けたところにあるガーデンプレイスには、
クリスマス飾りが施され大きなツリーがキラキラと輝いていた。
いよいよクリスマスシーズン到来だ。
なぜか田舎に住んでいるとクリスマスに気付かない。
前に来た時の記憶は飛んでしまい初めてきた感じがしたが、
レンガのレストランには見覚えがあった。
こじんまりとした広場にはワゴンショップが数件並んでいる。
六本木とは違って子供が好きそうなデコレーションが、
手ごろな価格で売っている。
それらを見て回ったり、
隣接する三越デパートをぶらりとしたりして夕暮れを待ち、
今回の締めくくりであるエビスビールを飲んで帰路に着いた。