友人から連絡があって、
家に来てもらうことになった。
とあるイベントの話し合いで、
電話より直接話した方が良いということになったのだ。
最近は何でもメールで連絡を済ませるので、
こんなふうに人が訪ねてくるのは少なくなった。
おかげで部屋の掃除を徹底的にやっていない。
当然ながら家は好き放題に散らかっている。
断捨離どころの話ではなく、とにかく物が多すぎる。
いつも何とかしなくてはと思っている。
今日は捨てるまでは行かないが、
見えなくすることを徹底しよう。
さいわいに友達は夕方になると言うので、
じっくりと部屋の掃除が出来るのは有難かった。
こんなことでもないと部屋はきれいにならないことは、
長い経験でわかっている。
まずはリビングの余計なものを物置部屋?に運び、
脱ぎ捨てた何枚かの服を二階のクローゼットに戻す。
テレビなどの機器の埃を雑巾で拭く。
椅子の上に重ねて置いた座布団も物置部屋行きだ。
机の上の溢れた書類も袋に収めた。
そんなこんなでお昼には見た目にはどうにかなった。
やる気になればこんなに短時間で掃除ができるではないか。
お昼を済ませると、しばらく休憩したけれど、
何となく落ち着かず玄関の掃除にかかった。
靴箱に入れるべき靴を収め、
箒で床の泥や埃を外に出した。
飾り棚にはあるのも忘れていた小さな額入りの写真を飾る。
庭から紫色のキキョウを5本切ってきて花瓶に挿した。
最初に目にするのは玄関だから。
それから掃除機をかけ、雑巾がけをして、
トイレのタオルを来客用に替えたり、洗面所のシンクを磨く。
トイレの花は白いホオズキにした。
そうこうするうちに、いつの間にか時間が迫ってきた。
一応汚れた普段着から少しましなものに着替える。
部屋はきれいになって我ながら完璧だと思う。
ガレージに車が入り、「ピンポーン」とチャイムが鳴った。
おっ、来た! と思いつつ、さらりと「いらっしゃい」と応える私。
珍しい色のバラを一輪持った友人は、リビングに入るなり、
「あら、どのおうちモノが多いのよねぇ」と言った。
一生懸命掃除したのに何てこった。
部屋が整理されているのは当たり前なのだから、
今日の私の掃除は別に特筆するものでもないのだ。
こうして記録しておきたいのは、
頑張って掃除した自分を褒めたいからかもしれない。
(写真はモジズリの群生、ねじ花ともいう)