旅先で食事をするのは楽しい。
私の場合、夜はなるべくホテルで食べる。
現地でスーパーを探しては食べたいものを買う。
それをお酒と共に部屋で味わうのだ。
このスタイルは外国も同じで、
現地のスーパーには見慣れない食品が並んでいるため、
なるべく一度はスーパー食にしている。
日本のお店では西と東では味が異なり、
商品の種類もかなり違う。
そんな様々な商品を見て回るだけでも楽しい。
とはいえ、手に取るものは名物は別として、
どうしてもお寿司や揚げ物など、
日常のおかずと同じようなものを選んでしまう。
人間の舌は保守的にできているらしく、
味の冒険はなかなか出来ない。
特に無粋な私はそんな気がする。
ただ日本酒だけは必ず地のものを選ぶようにしている。
今やコンビニや大手スーパーの影響で、
どこに行っても同じものを味わえることができるけれど、
独自の味を守っているのは、
お酒や味噌などの地方の小醸造業だけになった。
「シャンパン」と称したらいけないように、
日本の地酒の世界も土地と共に生きている。
土地から離れた商品はもはや地元の商品ではない。
地方を旅して蔵元を訪ねる時、
つくづくこの国の食文化を守っているのは、
グローバル化されることのない個々の力だと思ってしまう。
それらは名もなき優れた職人さんが支えているのだ。
と、いろいろと理屈を並べ、
ちょっと珍しい味のする地酒を飲んだのだった。