傷んでいた歯を抜かないで薬だけで済んだので、
嬉しくなって遠出をしてきた。
天気も良く美しい大自然の景色に会えるだろう。
もしかしたらシロヤシオがまだ咲いているかもしれない。
いつもならなるべく標高を感じて歩く私だけれど、
しばらく続いた体調を考慮して楽な道を取った。
ほとんどを車で行ける絶景の場所。
曲がりくねった山岳用パノラマラインを、
青いカルデラ湖を時折眺めつつクネクネと走り、
壮大な展望広場のある登山口に着いた。
ここから小一時間だけ山道を登ると、
もっと見晴らしの良い展望台があることは知っていた。
リュックにコンビニで買ったお結びとロールケーキを入れて歩く。
雲一つない群青の輝く空にまだ雪を何筋か残した高山が見える。
あの山は低地の町からは帽子の部分しか見えないのに、
ここまで来るとその全容を露わにしている。
シロヤシオもまだ十分に見ごたえがあった。
絶景という言葉しか思いつかない。
でも、なぜか食欲がわかず持参のおむすびを無理やり食べた。
山に行くとそれだけで胸がいっぱいになるから、
食欲がなくなるのかもしれない。
山の景色こそがご馳走だ。