お花の季節になったので、
車を走らせカタクリの咲く公園へ行ってきた。
出かけた時間も遅いし、お昼を作って食べるだけと思っていたが、
尾根の途中で出会った人と話が合ったせいで、
ひょんなことになってしまい夕刻までかかってしまった。
その人はお花に会うため毎年都会から電車で来ていると言う。
今日も近くの駅まで歩いて帰る予定だという。
ちょうど私の住む町の駅がその人の乗りたい線だったので、
これも一期一会と駅まで送っていくことにした。
お昼を済ませると、時間と待ち合わせ場所を決めて尾根の分岐で別れた。
彼女は反対方向からやってきたから私が来た道を辿り、
私は彼女が来た道を行き、麓を周回するようにして戻るというわけだ。
花は終わりに近かったけれど、そのため静かな散歩ができた。
何より見ず知らずの人と話し、趣味嗜好などが似ていて楽しかった。
ところが、約束の時間で待ち合わせ場所に行ったのに、
その人はいなかった。
駅まで送って行くと約束したから一時間待った。
寒くて風も強く、さすがに待ちわびた私は家に帰ることにした。
でも、一つ目の信号でその人を見捨てたような気になってしまい、
駐車場に戻った。
その人が私だったとしたら約束を破るわけはないではないか。
車を止めると、尾根であったその人がこちらに向かっていた。
どうやら駐車場を勘違いしただけのようだ。
彼女の方も一時間も経つのでこちらへ来てみたらしい。
私がいなかったらタクシーで駅へ行こうかと悩んでいたそうだ。
電話番号もお互い教えなかったから無駄な時間を過ごしたけれど、
それはそれで良い思い出になった。
そんなわけで、帰りには私の町の名所を一か所案内して、
駅へ送ってあげた。
(写真の花は盛りだったシュンラン。カタクリは枯れかかっていた。)