何処にもあるような田園地帯の一角に、銀色のコンテナが置かれてあった。
10年近くこの辺りを時々散歩していたのに、
それがカレー屋さんだと知ったのはつい最近のことだった。
カレーの香りが辺りに漂ってはいたけれど、コンテナキッチンだったとは。
カレー屋さんだと知ってからは、いつか食べたいと思っていた。
でも、通りに面した道には目立った店の名を表す看板もなくて、
ちらっと書いてあるのは「open」とか「close」とかの横文字だけで、
何となくインド人専用のお店のようで敷居が高く感じられた。
昨日、初めて近づいてみたらコンテナには窓があって、
中はキッチンみたいになっていて、ひとりの女性が働いていた。
窓にカウンターがあり、そこにはちゃんと日本語のメニューが置いてある。
キーマカレー500円とあった。
恐る恐る窓から注文すると、感じの良い店の女性が野菜を刻み始めた。
待つこと数分、持ち帰り用の袋が手渡された。
白い容器にカレーと付け合せのサラダ、フライドポテト、
アツアツのスープまでついていて袋はズシリと重い。
電話で注文したらしい若い女性が取りに来た。
きっとここのカレーがお気に入りなのだろう。
外に幾つか椅子はあるが、どうやらテイクアウト専門みたい。
店の人に尋ねたら、やはりそうだった。
公園が近いので、ベンチまで歩いてランチタイムにした。
本格的なインドカリーはとても美味しかった。
それほど辛くはなく、赤い福神漬けが嬉しかった。
熱いスープは薄味で私の好みに合った。
頂いたメニューにはまだまだ色々ある。
今度は何を食べようか、散歩が楽しみになった。