昨夜の台風は恐ろしかった。
夜中に家全体が風雨で激しく揺れているのを感じ、
何度も目が覚めた。
一夜過ぎると、案の定、植木鉢や外の花瓶などが吹き飛んでいた。
なのに、朝方は風も止み、気温も上がっていた。
何と今日は10月だというのに、駅前の温度計が36度と表示されていた。
これでは、真夏ではないか。
そして、夕方、あなたが走った。
驚く私をあざけるように、すばしっこく逃げる黒い影。
やっと涼しくなって姿を消したと思った矢先の再登場。
私はただただ衝撃を受けるのみだった。
私たち人間よりも遠い昔から生息していたというあなた。
長い歴史は確かに重いでしょうし、
それなりの深い存在意義があるのやもしれないのでしょう。
だけど、あまりのおどろおどろしさに名前を言えない私。
お願いだからもう去ってほしい。
私は非情な人間か。