散歩をしていたら新しい住宅街に出た。
いつの間にか造成されたのか、前に来たときは畑が広がっていたような気がする。
殆どのガレージには車がなく、まだ住人達は仕事から帰っていないようだ。
周囲は田園が広がり、昼下がりの静寂は平和で穏やかな暮らしが想像された。
今風のピカピカの家には塀がなく庭も丸見えだ。
若い家族なのか庭にはテーブルが置かれたりしている。
花が好きな人が住んでいる家にはプランターが賑やかだ。
それぞれが個性を競っているようで面白く、それとなくそっと見物した。
家はこうして塀がない方が人の目があるから安全だと思う。
見られるという落ち着かなさはあっても、安全が優先する。
昔の住宅のようにブロック塀で囲んだりするとかえって危険だ。
それに、このあたりは町外れだし、住民以外は滅多に歩かないだろう。
最近は住民ですら歩かないのだし。
そんなことを思いながら歩いていると、
いくつかの家に防犯カメラが設置されているのに気が付いた。
多い家は何個か付けていて、通りや境界を写すようになっている。
とすると、家々を観察しながらのんきに散歩していたこの私も
監視されていたのだろうか。
この穏やかな静けさにそぐわない監視カメラ。
近所の人の顔を知らないから外を歩く人が気になるのだろうか。
それとも泥棒が入ったのだろうか。
何だかここは通りたくないなあと嫌な気持ちになった。